2021/02/26 20:41
今日も山がきれいにみえる。


名前をつけたら鹿に出会う。
思ったような天候ではなく、外に出ようか悩む。降ったほうがよいのか、止んだほうがよいのか。正解が分からず頭の中で選択肢を並べては遠くを見る。
雨がほとんど止み、このブランドのメインビジュアルを撮影する場所を探しに行くために、最終的には渓谷に向かった。ブランド名は数週間前に決まった。
水鹿、すいろく、SUIROKU。
自分で考えておいてわざわざ言うことでもないが、美しい名前だと思う。見慣れた文字に自然の佇まい、愛らしさ。言葉に発した時にはメントールだかミントだか、ものは全く違うが、そんな清涼感を感じる。ふたりの純粋で自由なものづくりを見ていると、いや見ていなくても、しっくり馴染むんじゃないだろうか。そんなホクホクした気持ちを抱きながら渓谷に向かう道中。
鹿に出会った。

砥部町で活動するヨシュア工房の竹西辰人さんと龍泉窯の池田麻人さんによるコラボレーション作品のブランディング。ヨシュアブルーと流線は、水のように美しさと自由さを心に与えてくれ、引き算と掛け合わせは日本的装飾美とデザイン性が感じられます。
ブランド名は「水鹿」。水はいうまでもなくこの世界の大切な資源であるとともに、人にさまざまなインスピレーションをもたらします。鹿は山岳の象徴ともいわれており、琳派を中心に日本美術の作品に多く登場します。日本的な美と自然を踏襲しているふたりの感性になじむブランド名。

土が織りなす情景。それは自然のもののように聞こえますが、人の生活により添う陶磁器という姿もまた、土が織りなす情景だ、とわたしたちは考えます。竹西辰人の独自配合によるヨシュアブルーの濃淡、池田麻人の独自の成形技法による律動的なかたち、日本的な美を自然と踏襲する二人の感性が合わさった作品は、水のようなおおらかさで持つ手を受け入れ、自生するかのような佇まいで、日々により添います。
コンセプトは「日本の美、自然の美」。
一点一点ちがう姿と形は、製作者にも新鮮な発見と感動を与えてくれます。これからどんな情景がうまれてくるのか。水鹿作品に日本と自然の美しさを重ね、お気に入りをみつけていただけたら幸いです。
水鹿ロゴは、おおらかな流線と端正な直線で構成される。簡素かつ軽快、日本の和室のような印象である。
上流の水、そのまま掬って飲めるような心地良さがある。和室というのは、間の取り方、という意味である。
パーツが独立しつつもお互いに良きバランスを保つ。上品さ、エレガントさは必須。でも女性的すぎない。
うつわの見た目のような安定感も必須。はねに、水のたまりと弾く軽快さを、
左はらいに、ふたりの楽しく愛嬌ある感じも入れて、このロゴは完成となる。
欧文SUIROKU の書体は「Optima(オプティマ)」。サンセリフ書体のようで、セリフ書体のような優雅さを持つこの書体は、和文ロゴタイプのニュアンスをしっかり汲み取ってくれる。
ちなみに、ロゴマークは無い。水のように変容するすがたかたちに固定の文様はつくりたくなかった。
逆を言えば固定のものはないので、琳派を思わせるシルエットが現れるかもしれないし鹿はときどき木々の間から顔を出すかもしれない。お楽しみに。